コンテスト

【結果発表】第8回『NOVEL DAYS 課題文学賞』

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 第8回『NOVEL DAYS 課題文学賞』
 結果発表!! 

 

◆優秀賞  (賞金1万円)

涙味のホットケーキ
antiアンタイ

 

 

選評

 第8回課題文学賞へのたくさんのご応募ありがとうございました。

 今回の課題は「甘じょっぱい話」。甘酸っぱい話なら想像できるけれど、甘じょっぱい?と思った方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。それぞれの世界観の中にある「甘じょっぱい」に対する解釈を興味深く拝読しました!

 なかでも『涙味のホットケーキ』においては、「僕」と「幸坂さん」のキャラクターに惹かれました。辛辣ともいえるはっきりした性格かつ大胆な茶目っ気を持つ「幸坂さん」と、彼女に翻弄されつつも受け入れる「僕」の青春ならではの「甘じょっぱい」関係性がたいへん魅力的でした。antiアンタイさん、おめでとうございます!

 次回、第9回課題文学賞も皆さまのご投稿をお待ちしております。

 

 

佳作

惜しくも受賞には至りませんでしたが、ぜひとも読んでほしい作品を紹介します。

 

おさとう 双葉紫明

昔話や散文詩のような、夢想感のある文体が直接的な感情表現と合わさることで、「わたし」が「あのひと」を想うどこまでも甘い気持ちが「甘じょっぱい」ものとなる過程が切実に伝わってきました。

 

蝶々の足跡 毛利月海

 少女たちのすれ違いと、そのほころびを巡るそれぞれの想いがまっすぐに描かれていました。全体に偏在していた甘さとしょっぱさがラストで混じり合い、痺れる「甘じょっぱさ」がじわっと広がります。純粋な表現がすばらしかったです。

 

琥珀色に暮れゆく、夏の約束 出 万璃玲

 みたらし団子のタレと、夏の肌に纏わりつくような空気を結びつける描写が秀逸でした。甘さにしょっぱさがなだれ込み「甘じょっぱい」記憶となっていく過程、そしてその「甘じょっぱさ」の中を生きている現在がいつかは琥珀の中の出来事となるであろうという予感が情感を際立たせていました。

 

これでいいのだ 重永 東維

 失われた幸せとその代わりに訪れた幸せの間に身を置く主人公を通して、「これでいいのだ」という言葉の持つ「甘じょっぱさ」が見事に表現されていました。また冷静で穏やかな語り口に、失ったものを求めようとする自分への牽制が垣間見られる点もすばらしかったです。

 

以上となります。
たくさんのご投稿、ありがとうございました!

 

 

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