第8回『NOVEL DAYS 三題噺バトル』
 結果発表!! 

 

◆優秀賞  （賞金1万円）

坂
羽庫ふみ

 

選評

　第８回三題噺バトルへのご応募ありがとうございました！

　「課金」「上司」「炎天下」というキーワードに頭が痛くなる方も多かったのではないでしょうか。普段の生活に身近な各ワードについて、マイナスなイメージなのか、それともプラスなイメージなのか、今までのご自身の経験が映されているようで、とても面白く拝読しました。

　とくに羽庫ふみさんの『坂』は、「課金」を経て変わった上司に対して、つかず離れずで多少なりとも俯瞰して見守る部下の描き方が見事でした。「炎天下」も舞台装置としてきちんと意味が付けられており、２人で坂を歩く姿に「こんなことがあったかもしれない」と思わせるリアリティさが巧妙です。

　第９回三題噺バトルでも皆さんの物語にお会いできるのを楽しみにしております！

 

佳作

惜しくも受賞には至りませんでしたが、ぜひとも読んでほしい作品を紹介します。

 

メロンショートとメロンソーダ　小山内裕

お題のワードとは別に広がる兄とのわだかまりの描き方が終盤の展開によって読後の清々しさに繋がります。自己肯定感の低い主人公に手を差し伸べ続ける兄の気持ちに心打たれました。

 

ばあちゃんの庭　満つる

綺麗な思い出と共に茗荷の甘酢漬けが口の中に広がるようでした。炎天下の中で畑作業をする祖母への愛おしさがこみ上げてきます。

 

栄冠よ君らに輝け　阿地谷 渡

全てのキーワードが肯定的な意味で使われていることに惹かれました。主人公が自らの学生時代と比べながら観戦していることで、読者自身も試合にのめりこめるような描き方が見事です。

 

恋と上司とタラント　地野千塩

「推しになった上司との恋」という題材に３つのキーワードが綺麗に埋め込まれています。炎天下の中を走る彼女の背を押したくなるのはひとえに文章力の賜物だと思います。

 

以上となります。
たくさんのご投稿、ありがとうございました！