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心理描写の巧みさよ…!
左藤さん独自の言葉でモノローグがちゃんと作れていて、すごく惹き込まれてしまいました。特に冒頭3ページのツカミは素晴らしいですね。「などということは 全くない。」でビックリを作れているのも見事です笑
そして、生徒たちが番号で呼ばれているという魅力ある設定や、所々に挟まれるコマ割りの工夫などで、作品への没頭感をとても出せています。没頭しすぎて「1桁ってどういうこと!?」ってめちゃくちゃ気になってしまったので、世界観の説明はもう少しあると個人的には嬉しかったですね笑
これは僕の所感ですが、P.15の「真っ白な箱の中でも」「夢を見るのは自由なのだ」というセリフはこの物語のテーマになりうる言葉な気がしていて、主人公の背中を押してくれる凄く良いセリフだなーと思いました。
それを受けて主人公は“死”を選択するのですが、人間らしさという意味でいうと正解なのかもしれません。
ただ、読み切りは「人の人生や価値観が変わった瞬間」を描くものだと思うので、その意味ではこのラストは賛否が分かれるところかと思います。
現状では主人公の価値観は変わらぬままで、追い込まれて死んでしまっているように見えるからです。
主人公の自殺は、先程の「夢を見るのは自由なのだ」という応援的なセリフには反する行動ですし、57番さんも主人公の価値観を変えるに至れてないので、「この出会いに意味がなかった」と捉えられる可能性もあります。(追い込んだ、という意味で合っているなら正しい出し方ですが…)
ただ、もしラストが順当に救いのあるシーンだったとしたら、上記のテーマや出会いは全て活きてきます。
あくまで僕の意見ですが、左藤さんには以下の3点の武器があると思っています。
・人を惹き込む主人公の悩みが描ける(モノローグ力)
・人を没頭させる世界観や画面が作れる(演出力)
・「テーマ」(=世の中に伝えたいこと)をちゃんと言葉にできる(セリフ力)
これだけ持っているのはそもそも素晴らしいことですが、もしかしたらこれらがちゃんと活きる方向性を一度検討していただいたほうが良いかも知れません。
その意味で、僕は左藤さんが描くハッピーエンドの物語も見てみたいと思っています。
元々の能力はお持ちなので、バッドエンドでもハッピーエンドでも、それに合わせて武器をうまく組み合わせていく作業ができれば、さらに左藤さんの才能は世に受け入れられやすくなると思います。
もしよろしければ、そのお手伝いをさせて頂けると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。2018/03/21 04:03 -
なんというか、作家さんが必死にもがきながら、自らを鼓舞するかのような物語で、読んでいて胸が切なくなりました。だからこそ、このラストは……。 どこかに喜びとか救いが欲しかったです。 ページで見たときの画面のバランスが絶妙で、雰囲気があって、世界観にファンがつきそうな作家さんだと思いました。
2018/03/20 20:32