この高い完成度で初めての作品とは！　読めて嬉しいです。

ストリートネイル野郎が万能女子高生の人生を変えてしまう、という設定もよく考えられていて、入魂の作品なのだなあ、と感じています。

実際、ネイルは漫画の画面では小さくしか見せられないわけで、ちょっと見せ場を作るのは難しいのではないかなあ……とも思っていたのですが、クライマックスのシーンにはしびれました。この１ページを見せるための漫画である、という企画でも納得できます。いいシーンを見られました！

ただ、32ページを費やした割には起きている事件が地味でした……。
別に爆発させろとか誰か殺すとかそういう絵的に派手な出来事を入れろ、と強要したいわけではありません。

守谷さんが屈託を見せているだけで、その感情が大きく動く「これ」という展開の不在がもったいなかったのです。
細かくいいシーンが多く描けているのだから、あとは守谷さんと一緒に喜怒哀楽をもっとこの作品世界の中で楽しめれば、それが地味ではない事件として、読者の記憶に残ったのではないでしょうか。

ハリウッド的な、キャラクターの感情を「上げて、どん底に落として、クライマックスで爆上げさせる」といった作りはお嫌いなのかもしれませんが、この先も描いていくにあたっては挑戦してほしい基本的手法だと思った次第です。
いずれにせよこの先の展開を楽しみにしております！