KADOKAWA・タテスクコミック編集部に聞く、新たな漫画表現の可能性!

KADOKAWA・タテスクコミック編集部に聞く、新たな漫画表現の可能性!

KADOKAWA「タテスクコミック」がDAYS NEOに参戦!

タテスクロール専門の漫画編集部のDAYS NEO加入は、これがはじめて。

「従来の漫画制作とどう違うの?」
「原稿料はどういうシステムなの?」
「カラーで描かないといけないの?」

タテスクロール漫画に興味はあるけど描いたことはないし、マッチングしても大丈夫かな……。

そんな不安を感じる漫画家さんのために、
従来の漫画制作との違いから気になるお金事情まで、
タテスクコミック編集長・人見さん、同編集部・松下さんに聞きました。

未開拓だからこそ「これからレジェンドが生まれるメディア」
新しい漫画表現にチャレンジしてみよう!

プロフィール

人見英行氏(以下、人見氏):

KADOKAWAのタテスクコミック編集部の編集長兼、コミック第4編集部部長。これまでに少年エース編集部、ドラゴンエイジ編集部、コミックアライブ編集部に所属。コミカライズ作品の編集などを主に手がけた。

松下友一氏(以下、松下氏):

KADOKAWAタテスクコミックの編集者。新卒では別の出版社に入社しマンガ編集を10年近く担当した後、VRやVTuberに惹かれて動画プラットフォームへ転職。そこで得たスマートフォンメディアの経験を元に、2022年よりKADOKAWAタテスクコミックの編集者として再びマンガの世界に復帰した。

目次

韓国式の「分業制」とココが違う!
タテスクコミックなら「1人で作れます」

人見氏:

「タテ読み漫画といえば分業制」というイメージがある方も多いかもしれませんが、タテスクコミック編集部は「1人でも作れる」ことが特徴です。

タテスクロール漫画は韓国発祥の新しい漫画表現。
韓国では [シナリオ・ネーム/線画・着彩] の3部門をそれぞれ専門のプロが分業する「スタジオ式」を採用する企業が多いです。
もちろん韓国でも個人クリエイターの作品はたくさんあるんですが、スタジオ式のほうが生産量は高く、そのぶんヒット作も多いため、日本から見るとスタジオ発の作品が目立つという側面は大いにあると思います。

ただ、スタジオ式はまだ国内の制作環境では馴染みの薄いシステムですよね。
日本の漫画家さんと一緒に仕事をさせてもらうことが多いタテスクコミックでは、漫画家さんひとりひとりの持つ裁量が大きいことが特徴のひとつです。

例えば、シナリオ・ネーム・線画までを漫画家さんがひとりで担当して、着彩だけ他社さんに発注するケースも多いですし、漫画家さんに着彩まで完結してもらえたら「1人で作れる」
もちろん、従来の漫画のように原作・作画を分けるケースや、KADOKAWAの豊富な原作を活用したコミカライズにも取り組んでいて、漫画家さんの強みを生かした制作体制を一緒に考えていける環境を整えています。

タテスクコミックにはシナリオから着彩まで1人で完結する作品も!
『エンラ』 (C)Dokaku Suwa

「見開き」「めくり」からの解放!?
“タテスク”の魅力は「立体的な漫画表現」

人見氏:

タテスクロール漫画はスマホで読むことに特化したコンテンツで、いわば「漫画とアニメの中間のような媒体」と言えると思います。
シーンが途切れない連続性と、カラーのビジュアルが流れていく感覚はアニメーションに近い読みごたえなのかなと。

松下氏:

たとえば従来の漫画でいう「めくりでドン!」(ページをめくった直後に大きなコマを描く演出方法)は、物語の連続性を失わせることで緩急をつけるテクニックですよね。
これはタテスクロールの場合、ロングの構図で「!」というフキダシでまず注目をさせて、スクロールしたら突然キャラクターのアップ! といった緩急をつける演出といった、連続性を敢えて断ち切るなどのアイデアが一例としてあります。

人見氏:

画面が縦長であることを活用して、空などの長い背景を置いて垂直方向にカメラを動かしていくと、映画的な動きを出すことができたり

たとえば巨大なドラゴンに斬りかかるシーンがあるとして、縦長のスクロールを使うことでより強いインパクトを与えることもできます。従来の漫画とは違って映像のように立体的な漫画表現ができるので、いろいろと試行錯誤してみると面白いですよ。

『勇者育成プロジェクト』 (C)Haru

―はじめてタテスクロール漫画を描くときの注意点とは?

松下氏:

1画面に1要素が収まるように作ることでしょうか。

この場合の要素とは「キャラクター」と「セリフ」のことですね。
最初はイメージが難しいかもしれませんが「タテ1.2:ヨコ1」くらいの比率の枠を、従来の漫画の「断ち切り」だと想定して絵とフキダシを収めることをおすすめします。

スマホの比率ってだいたい縦2:横1なんですけど、画面上下はアプリのメニューバーや操作する指が干渉することがあるので。もちろんこれはあくまで目安です。敢えてその比率の外にセリフを置くことで迫力を出すなど、演出に狙いがある場合はその限りではありません!

ちなみに、タテスクロール漫画は一般的なイラスト制作ソフトで制作可能です。
たとえばCLIP STUDIOには「WEBTOON」というテンプレートが入っているので、ぜひ試してみてください。

KADOKAWAネットワークで海外展開!
「だからカラーで描いてほしい!」

人見氏:

KADOKAWAはタテスクコミックの作品を積極的に海外展開していきたいと考えています。

アメリカやタイ、マレーシア、台湾といった海外のグループ会社と緊密に連携を取って販路拡大や翻訳対応をスピーディに進められることは大きな強みで、既に数作品のグローバル展開が進行しています。その中でモノクロ漫画を読む習慣がない海外ユーザーには、カラーじゃないと「これ下書きじゃないの?」と思われてしまうことが多く、そして「タテスクロール漫画はカラーである」というユーザーの期待もあって。

魅力的なコンテンツを全世界に届けて、本気でヒットを狙っていきたいからこそ、フルカラーは前提として考えています。

もちろん先ほどお伝えした通り、着彩は別で発注できるので、カラーに自信がない漫画家さんも安心してください!

原稿料は従来の漫画の1.5倍!
でも、“タテスク”って「ページ」をどう数えるの?

人見氏:

1人で着彩まで完結する場合は「一般的な雑誌(紙媒体)の原稿料の1.5倍くらい」
シナリオから線画までを担当する場合だと「紙の原稿料と同じくらい」だと思ってもらえればと。

「タテスクロールってページの単位をどう数えるの?」と聞かれることもあるのですが、だいたい5~6コマで1Pと換算することが多いです。今後はチャプター(単話売りの最小単位)ごとのお支払いとなっていくケースも増えてきそうです(1チャプター=従来の漫画で6~10Pのボリューム)。

また、タテスクコミックの作品はKADOKAWAのBookWalkerでの直販だけでなく、ピッコマさんやLINEマンガさんなどで単話ごとに販売されていて、漫画家さんには販売金額から規定の比率で印税をお支払いしています。

「待てば無料」系の仕組みを導入しているプラットフォームが多いので、連載前に10話分ほど描き溜めていただいて、その後は週刊で公開をしていく……というのが一般的な連載形態ですね。

新しい漫画表現だから”タテスク”は
あなたが「レジェンド」になれるメディア。

人見氏:

タテスクコミックでは新人賞の位置づけで「タテスクコミック大賞(大賞賞金300万円)」というコンテストを開催しています。

タテスクコミック大賞 公式HPはこちら

一番の魅力は「連載作家になる近道であること」で、大賞受賞作、部門金賞・銀賞受賞作の応募者の方には連載デビューを確約しています。
 
これまでもタテスクロールでは素晴らしい作品が世に発表されていますが、世間を揺るがすような大ヒット作品はまだ生まれていません。
今から従来の横読み漫画で手塚治虫先生を超えることは難しいかもしれないですけど、タテスクロールなら時代の先駆けとしてあなたが「漫画の歴史に刻まれるクリエイター」、すなわち「レジェンド」になれる可能性がある。
 
新しいメディアだから、新しい表現方法がこれから生まれてくる。
なので、従来の漫画の上手い下手は関係ないと思っています。
 
これまで漫画制作をしたことがない人にもぜひトライしてみてほしいですし、培ったスキルや経験を生かしてベテランの漫画家さんにもタテスクロールの世界でナンバーワンを目指してほしいと願っています!

ジャンル無限大! 国内最大規模の“タテスク”メディアがDAYS NEOであなたを待ってます!

松下氏:

今のところはタテスクロール漫画のメイン読者である女性読者に向けた異世界転生モノや恋愛モノが一番強いジャンルです。

だから女性向けの作品を募集します! ということではなくて、タテスクロール漫画は「ガラケー時代の漫画」と似たような進化を遂げていくんじゃないかと私は予想をしていて。
ガラケー漫画も当初は女性がメインの読者層でしたが、スマホの普及などに伴って老若男女を問わずたくさんの読者に親しまれるようになりました。
 
たとえば『俺だけレベルアップな件』は誰でも楽しめて、世界で一番売れているタテスクロール漫画作品です。
そういった大ヒットを日本から世界に送り出すことがタテスクコミックの使命だと感じていますし、総合出版社であるKADOKAWAとして、メディアの土壌を広げていくことに挑戦したいです。

人見氏:

タテスクコミックは現在、国内最大規模のタテスクロール漫画メディアです。

従来の日本式漫画の作りかたも知っているので、クリエイターさんに寄り添った付き合い方をしていけると思いますし、”タテ読み”に挑戦するうえでの協力体制・販売促進の仕組みも含めて、KADOKAWAを選ぶ価値はあると自負しています。
 
原作が本当に豊富なので「絵で勝負したい」という方にも、オリジナル作品にも力を入れているので「クリエイターとして独り立ちしたい」という方にも向いている編集部です。

ぜひDAYS NEOでマッチングして、「新たな挑戦」への道を一緒に歩んでいけたら嬉しいです!

ミニコラム:編集部員のオススメタテスク

人見編集長のおすすめタテスク

『勇者育成プロジェクト』(著/haru) (C)Haru

人見氏:連載が進むたびにどんどん面白くなってきました!

強くなりすぎた魔王は考えた。最強の勇者を自分で育てて殺せば、全人類を絶望させられるのでは――?
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人類の希望となる最強の勇者を育てて殺し、世界に絶望をもたらすのだ。
勇者候補の弱虫な少女との二人三脚が始まる!?

松下編集のおすすめタテスク

『魔法使いのお食事処』(原案/千崎真夜 漫画/KADOKAWAGEMPAKSTARZ)
(C)KADOKAWA GEMPAK STARZ (C)Shinya Chisaki

松下氏:クリエイターとして才能を感じる新人さんが現れました!

トラックに轢かれて異世界に転移してしまった新米料理人の鬼島は、
世界最強の魔法使いが営むレストランに住み込んで働くことに。
愉快な人外の同僚たちと繰り広げる、異世界お仕事ファンタジー!