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  • 人ではなくなってしまった自分の存在に葛藤し、悩む主人公の気持ちが痛切に伝わってくる切ないお話でした。自分はゾンビになった経験がないのでわかりませんが、ゾンビになったらこんな気持ちになるのだろうなと共感できます。

    全編を通してカメラワークがよく、目を引くコマがいくつもありました。主人公、星空、先輩、それぞれのキャラもしっかりと立っていて存在感があり、魅力的です。個人的には63ページ1コメ目の星空さんの表情がベストシーンでした。

    気になったのはモノローグを多用しすぎていて、読みづらさを感じました。アニメなら声優さんが声をあててくれるので、自然と頭に言葉が流れ、シチュエーションも理解しやすいですが、「読む」となると「これはフキダシだから現実に話しているセリフで…こっちはモノローグだから、このシーンではナレーション的にかぶせてあるんだろうな…」などと、少し考えながら読まなければならず、作品のテンポを損なっていたように思います。

    モノローグの演出は感情に訴えるにはよい方法ですが、使いどころは絞ったほうが効果的かもしれません。

    あとはラストシーンで何が起こったのか、ネームの状態ではわかりにくかったです。星空さんが自殺してしまった(?)のは、後のセリフでなんとか読み取れました。読み飛ばしてしまっている可能性もありますが、ここで星空さんが自殺してしまう理由が私には理解できませんでした。イジメがあったとしても、主人公と心を通わせた直後になぜ…と唖然としてしまいました。

    ともあれ、儚くも美しい、そして哀しい物語を読ませていただき、読み応えのある作品でした。この度はご投稿いただき、ありがとうございました。

    2019/11/16 03:15
  • 色覚障害を「普通じゃない」と表現してしまっているので、商業誌に載せるのは難しいお話かもしれませんが、とてもいいお話でした。「大スキだ!!」の演出がとても素敵でしたし、指摘すればキリがないほど細かい演出やネタが仕込まれている作品だったと思います。

    キャラクター(特に女の子)の表情が豊かで、ネームの状態ながら絵を見て楽しむことができました。表情だけでなく、全身を使って演技させているので、キャラがとても生き生きとして見えますね!

    設定で惜しいと思ったのは、主人公の斎藤が色覚を取り戻すことにリスクが何もなかった点です。ベタかもしれませんが、色覚を取り戻すオペには失敗する可能性を匂わせ葛藤があったほうが、ドラマがより盛り上がったのではないかと思います。

    どういうことかと申しますと、この物語は「幽霊の紗凪に出会って、背中を押されて色覚を取り戻し、夢をもう一度追いかけることにした」というプロットの話ですが、「別に紗凪に出会わなくても、(リスクがないなら)色覚を取り戻すことになったのではないか」と感じてしまうのがもったいないな、という感想です。

    お話の中で不思議に思ったのは、斎藤が幽霊の紗凪に出会った際のリアクションです。因縁のある女の子ですから、この時点で斎藤はすぐに気づいたと思うのですが、他人のように接しています。なぜこのようなリアクションになったのか、そして、紗凪だと気づいたのか、少しモヤモヤしてしまいました。(最初は本当によく似てるだけの迷子の子だと思っていた…?)

    なので、「お前、やっぱり…紗凪なのか?」「え…おじさん、なんで私の名前を知ってるの?」というような会話があるとよかったかもしれません。

    細かい部分で気になる点はありますが、それでもよく練り込まれた力作だと思います!

    2019/11/16 02:51

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