編集者メッセージページ

  • 鬱々とした社会人生活を送る主人公が、「気づき」によって救われる素敵なお話でした。

    ネームの状態ながら、絵は見ていて楽しかったですし、コマ割りもメリハリがあって読みやすかったです。周囲の人間がファンタジーな姿で見えてしまうという、主人公の追い込まれた精神状態の演出は面白いですね。

    一方で、主人公と宗介の過去はもう少し詳しく見せてほしかったですね。主人公が出しゃばらずに生きていこうと思うようになったきっかけなので、宗介にも一言何かしゃべらせてほしいです。おそらく意図的に過去の宗介にはセリフを与えていないのだと思いますが、「ごめんね…」とか、主人公に対する謝罪とも拒絶ともとれるようなセリフはどうでしょうか。

    ①ジビエを食べて獣化
     ↓
    ②昔を思い出し、自分の弱さを思い出す
     ↓
    ③控え目に生きてきた自分を否定し、前向きに歩きだす

    ラストのこの流れは、気持ちのつながりが読み取りにくいですね。
    ②と③の間には、「もう控え目に生きる必要なんてないんだ!」という許しがあるはずなので、そこは主人公が立ち直るに足る宗介のセリフがあるとよかったと思います。

    その他にも、急に上司が豚に変わったのが一瞬演出だと分かりにくかったり、上司が豚に変わる前の宗介の姿はどう見えていたんだというのが気になったり、変に見える周囲の人たちの姿と宗介(昔のまま)の姿に何か共通性(※)があるといいのに、など細かなところは気になりました。

    ※共通性→たとえば、主人公がコイツはこういうやつだ!と思い込んでいるイメージ像に見えているという共通性とすると、

    上司=豚(この口うるさい豚野郎が!と主人公が心の中で思っている)

    同僚A=ヤカン(この人、いつもお茶淹れてくれるな…と思っている)

    同僚B=チーズ(この人、一緒に食事に行くといつもチーズの入った料理注文するな…と思っている)

    宗介=中学生の頃の姿(弱々しいけどやさしくて、私の味方…と思っている)

    …というように仮定してみましたが、やはり少しチグハグな感じもしますね。
    主人公がなぜ宗介を中学生の姿で見ていたのか、という部分の掘り下げをすると正解が見えてくるかもしれません。

    2018/06/22 17:14

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