★4219,530

ホラー、アンハッピーエンドな話をよく描きます。

編集者メッセージページ

  • 『腕時計』と同じく、巧みな構成ですね。
    拝読している間ずっと「ページをめくりたいけど、めくるのが怖い」という気持ちでした。
    すっかり、あづみさんの術中に嵌ってしまいました。
    でも「誰か大切な人に勧めたい?」と聞かれると、ちょっと困る...。
    アンハッピーエンド作品のもつ宿命ですね。
    闇を描けるのは、強烈な光を知っているからだと思います。
    決して明るくてライトな作品を描いてほしいわけではないですが、
    「絶望の中に小さく強く輝く光」を目指してもいいのではないかなという想いがあります。

    2018/07/29 19:49
  • ご投稿ありがとうございます。
    作家さんと単行本のカバーや雑誌の表紙イラストで、書店に何気なくだったり他の目的で来た人とキャラがふいに目が合うようなイラストのご相談を差し上げることもあるのですが、まず「恋とはいわない」はサムネイルのカットで目が合って、読みたい!という気持ちにさせられる画力がありました。
    実際に読みだしてみて、冒頭4ページまでの日常シーンで登場人物達の関係性を分からせる巧みさや、台詞のリズムの小気味良さがあって、全編を通してドラマチックなことが決して起きるお話ではないですが、最後まで読みたくなる魅力も備わっているネームだとも気づかされました。
    たとえば、望が合コンでブレずに生中を頼む一連のやりとりから彼女の性格が推察できるところなどとてもいいシーンだと思います。

    結末に関して、たくさんの漫画や映画がある中アンハッピーエンドなものがあってもいいですし、実際の恋愛でもこういうことは少なくないと思います。そこはリアルに思うし共感もする反面、創作物としてはもうちょっと仕掛けていてほしいようにも感じました。
    12ページの矢沢がわざわざ合コンを抜けだして望を追いかけるシーン、16ページのごはんに誘って「望といるほうが楽っつうかさー」の台詞などが伏線になっているとは思いますが、たとえばホラー映画の「ミスト」でも「SAW」でも「シックス・センス」でも結末で驚かされるのと同時に同じくらい、ああ…なるほど…と納得できて、結末を知った上で見返したときにラストに繋がる伏線がいくつも散りばめられていることに気づくように、このどんでん返しをするなら、最後に矢沢の感情の吐露と一緒にこれまでの行動の意味のネタばらしになるものや、読み返したときに初めて気づくような伏線の手数をもっと打ってみてもいいようにも思いました。その分、カタルシスも増すのではないでしょうか。
    最後のページの最後のコマで、矢沢を部屋でうつぶせにさせて傍らにファッション誌か何かを小物で出して「他の異性の話をして意中の相手の心を揺さぶろう」みたいな恋愛マニュアルの見出しをさり気に映すなど。12~13ページの2人が並んで歩いているシーンで、矢沢が車道側を歩くようにしているとか。
    言葉で説明しなくても読者に状況を伝えるネームをきる力をお持ちのあづみさんには、そのあたりも期待したくなります。

    2019/07/17 04:16
  • 最後のコマで、ゾッとしました。

    とても悲しい物語の中に、救いとか人の成長を描く話かと途中まで完全に思い込んでいました。
    先輩と後輩の会話劇が自然なので、序盤の腕時計の話をカモフラージュできているのだと思います。にくい演出ですね。

    人間の命と腕時計の寿命をかけるというのは、「おおきな古時計」からある古典的なものですが、それをホラーチックにする。一捻り入れてくるところに、あづみさんの驚かせてやろうという姿勢を感じます。

    ただ、そつのない展開なので全編同じペースで読めてしまいます。たとえばですが、受け継がれてきた腕時計に関して、他の社員のひそひそ話が聞こえてくるなど、途中で読者に違和感を与えてあげるとよいのかなと感じました。
    違和感を与えてからの、あのラストであれば、それが解消されたという快感が増すと思います。

    次の作品も楽しみです!

    2018/08/04 12:40
  • 読んだ人を非常に前向きな気持ちにさせてくれる快作ですね!
    生き死にに苦悩する人間を好むという、このゴスロリ死神は、
    必死で生きている現代人の心に刺さる素敵なキャラクターだと思いました。

    そしてとにかく、漫画が読みやすい!
    セリフのリズムの強弱や、死神という設定をスムーズに理解させる演出など、あづみさんの確かなネーム力を感じました。

    ただその一方で少しだけ残念だったのが、主人公が川に落ちてからのシーンを読んだ時、主人公の心情の変化に忙しなさを感じてしまったことです。確かに死神の理屈で考えると、水中で「死にたくない」と思えた瞬間に彼が変わるのは間違ってはいないと思います。ただ、彼の気持ちに寄り添っている読者がその変化に付いていけるかどうかはまた別だとも思います。ここで彼の心情の変化を伝えるのならば、目を覚ました後に「生を実感する」シーンは必要だったかもしれません。

    あづみさんのネーム力をもってして、今よりもさらに人物の「感情」を伝えられるようになれば、より多くの読者の心を揺さぶる作品をつくれるのではないでしょうか。

    次回作も楽しみにお待ちしております!

    2018/10/29 20:48

TOP