編集者メッセージページ

  • 米戸さんの使われる言葉、描かれるキャラクターの人間性がとても好きです。

    「透明人間」なのに明るく人懐こいおぼろがかわいく、ぎこちないけど優しい、2人の不思議な関係性が素敵ですね。境遇にとらわれず、やさぐれていないおぼれに香月が惹かれていき、変化させられる様子がとてもよく伝わってきました。

    キャラクターの見せ方として、例えば誰かの「優しさ」を、本人ではない誰かに気づかせると、気づいた方の人のことも読者は「優しい人」だと思えます。それが自然にできているなと思いました。

    印象に残ったシーンや台詞はたくさんあるのですが、特に「今が10幸せならもっと幸せになるのに11いるけど~」のページとその前後がよかったです。囲んでいるのは出前なのに、主人公が最初に作っていた手料理よりずっと温かみの空間をつくっている、その対比もいいなと思いました。

    あえて申し上げるとすると、序盤に少し読みにくさがありました。香月とヒナが対等な関係の同棲カップルではなく、ヒモと家主であることがわかるのに時間がかかったので、それが1~2ページ目で伝わるといいですね。(ベッドにいるこぐまなどを通して女性一人の部屋であることを示していると思うのですが、もう少し直接的に伝えていいと思います)

    そして逆にヒモだとわかると、浮気を責めたり、探偵に頼んでまで調査したりするのが少し違和感があるなと思ったので、ヒナちゃんの性格や香月への偏愛のさまを描いて、その説得力を出せるといいなと思います。

    また、内容に直接関係ありませんが、フキダシと文字のサイズを大きくすると読者にとって一気に読みやすくなると思います。

    とても好きだったので担当希望出させていただきますが、もしかすると完全にこの作品のままの作風というよりはもう少し起伏の大きなストーリーをお願いするかもしれませんので、他の選択肢とあわせてご判断いただけますと幸いです。

    2021/09/09 15:36
  • イブが意地らしく表現されていましたし、作画も丁寧で読みやすい作品でした。
    よくまとまった作品だとは思いますが、気になったのはざっくりと下記の3点です。

    ①リアムのシャーロットに対する想い、執念の描写や演出が弱い。
    ②イブの能力のルールが読者に提示されていない。
    ③オーエン卿殺しの犯人が予想通りの人物だった。

    ①を改善できれば、リアムが最後にイブの存在を認める展開はより胸熱になったと思います。

    ②はイブが“なんでもできてしまう”存在に見えるため、ピンチになっても読者として危機感が薄かったように思います。イブはどうすると死ぬのかを提示したり、イブが記憶を読みとる条件を「本人の身体の一部を取り込んだ時のみ」と能力を制限するなどでしょうか。特に記憶コピーの性能設定はリアリティにも関わるため、しっかり詰めていただいた方が実在感が増したと思います。

    ③については、もうひと捻り欲しかったです。奥さんが怪しいので、もうひと悶着を期待しながら読んだために、肩透かしを食らった気になりました。

    以上、今後の作品のためということなので、感想を書かせていただきました。ご担当者がいらっしゃるようなので、あくまで「そういう見方もあるのか」と参考程度に受け止めてください。船頭多くして船山に登ることは、よくあることなので…。

    この度はご投稿いただき、ありがとうございました!

    2022/06/27 19:29

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