編集者メッセージページ

  • これは怖い! いいものを読ませていただきました。
    主人公に追い込みをかける系のエンタメは、「こうすれば主人公は助かったんじゃね?」的な感想を読者に抱かせるようなスキを可能な限り潰していかなければならないわけですが、本作はかなりの程度できています。かなり練って作られたことと存じます。
    何とかして花恵に嫌われるルートをたどらないといけないのでしょうが、どう頑張っても「詰む」ように花恵の行動原理ができているわけで……参りました!
    猫を使うプロットも見事で、虚を突かれると人はいうことを聞いてしまうものだよなあ……と感心するばかりです。
    さらにラスト、ありがちなオチとは言えますが、そこに普通にセクシー系から鮮やかにモデルチェンジした花恵まで描き切るサービス精神には、さらに参りました。

    ケチのつけるところが少ない完成度ですが、強いて申せば一部の背景が不自然でした。共用部分の廊下(エレベーターホール?)が広すぎたり、ゆうくんが一睡もできない部屋の間取りが怪しかったり、舞台設定を詰め切れていないのでは、と気になった次第です。
    この種の話はリアリティが命です。読み手に「醒める」ヒマを与えないようにするため、できればこうした細部にも気を遣い、整理した画面でもっとリーダブルに読ませていただければ、と願います。
    でもこうした些細な瑕疵は描き続けることで消えていくでしょう。今後も楽しみに拝読させていただきます!

    2020/09/23 01:40

TOP